コントロールパネルは、Clashクライアントの内部状態を観察するための窓口です。「なぜ開かないのか」という多くの問題は、パネルを一目見るだけで答えが見つかります。この記事ではページごとに——プロキシ、接続、ログの順に、それぞれ何を解決できるのかを解説します。

パネルはどこから開くのか

デスクトップ版クライアントには通常パネルへの入口が用意されています。コマンドライン版のコアを使っている場合は、設定ファイルに次の行があることを確認し、ブラウザで対応するWebパネル(yacd、metacubexdなど)にアクセスすれば接続できます。

パネルAPIの設定
external-controller: 127.0.0.1:9090
secret: "your-api-secret"       # set one if exposed to LAN

プロキシページ:遅延の数値をどう読むか

プロキシグループの雷アイコンをクリックすると、全ノードの一括速度テストが実行されます。遅延カラーの意味は次のとおりです。

  • 緑(200ms未満):状態は良好。ブラウジングも動画視聴も問題ありません。
  • 黄(200〜500ms):使えるものの遅め。ゲームやビデオ会議では明らかにカクつきます。
  • 赤・タイムアウト:ノードが現在使用不可の状態です。選ばないようにしましょう。

注意点として、この遅延は「あなた→ノード→速度テスト用アドレス」という経路全体の応答時間であり、単純なping値ではありません。同じノードでも時間帯によって測定値が大きく変わるのは正常な現象で、ピーク時間帯は全体的に高くなりがちです。

接続ページ:誰がひそかに通信量を使っているかが一目でわかる

接続ページには現在アクティブなすべての接続が一覧表示され、各行には宛先ドメイン、マッチしたルール、使用中のプロキシグループとノード、通信量が表示されます。よく使う3つの用途は次のとおりです。

  1. 振り分けの確認:サイトにアクセスした後、そのドメインをここで検索し、マッチしたルールと出口が想定どおりかを確認します。
  2. 通信量の多いアプリの特定:通信量順に並び替えると、バックグラウンドで密かに通信しているアプリがすぐに見つかります。必要に応じて×をクリックして個別の接続を切断できます。
  3. ルールの誤判定の調査:本来直接接続すべきサイトがプロキシ経由になっている場合、どのルールにマッチしたかを確認し、設定ファイルの順序やルール自体を修正します。

ログページ:最後の切り札

接続ページだけでは問題の原因がわからないときはログページを確認します。ログレベルを一時的にdebugに上げれば、よくあるエラーはすぐに特定できます。

ログのキーワード考えられる原因対処法
connection refusedノードのポートが不通、またはノードがオフラインノードを変更し、サブスクリプションを更新する
timeoutノードの応答遅延、回線の混雑遅延の低いノードに切り替える
auth failedサブスクリプションの期限切れ、パスワード/UUIDの失効サービス提供元で更新手続きを行い、サブスクリプションを再取得する
dns resolve failedDNS設定の問題「Clash DNS設定を徹底解説:汚染と漏洩への対策」の手順に沿って調査する

調査が終わったら、ログレベルはinfoに戻しておきましょう。debugレベルのログ出力はリソースを多く消費します。

上級者向けの3つの小技

  • ルール検索:一部のパネルではドメインを入力すると、どのルールにマッチするかを直接確認できます。ルールを変更する前に、まずここで「シミュレーション」してみましょう。
  • 通信量グラフ:概要ページのリアルタイム上り/下りグラフは、速度テストの結果を裏付けるのに使えます。帯域を使い切っているときはグラフが安定し、ギザギザしているときはノードが不安定なことを示します。
  • LAN内デバイスの管理allow-lanを有効にすると、接続ページにスマートフォンやテレビからの接続も表示され、家中すべてのデバイスの通信を1つのパネルで管理できます。
セキュリティ上の注意 external-controllerを0.0.0.0でリスニングしてLANからアクセスできるようにする場合は、必ずsecretを設定してください。設定しないと、同じネットワーク内の誰でもプロキシ設定を書き換えられてしまいます。

パネルの選び方:内蔵パネル vs サードパーティ製Webパネル

デスクトップ版クライアントに内蔵されているパネルには通常、プロキシ・接続・ログの3機能がすべて含まれており、普段はそのまま開くだけで十分です。サーバーやルーターで純粋なコアだけを動かしている場合、代表的なサードパーティ製Webパネルにはそれぞれ特徴があります。

  • yacd:シンプルで読み込みが速く、安定性に優れています。重要な情報だけをさっと確認したいユーザーに向いています。
  • metacubexd:機能が豊富でグラフも充実しており、接続の詳細もより細かく表示されます。データを深く掘りたいユーザーに向いています。

どちらも本質的にはexternal-controllerというAPIを通してClashクライアントと通信しているだけなので、機能面での本質的な差はありません。どちらを選ぶかは完全に好みと使い勝手の問題で、切り替えてもコストはかかりません——パネルはあくまで「読み取りと操作」のためのインターフェースであり、設定と接続状態そのものは常にClashクライアント側にあります。

スマートフォンでパネルを見るには

モバイル版でも考え方は同じで、クライアントがパネル機能をサポートしていれば操作方法はデスクトップ版とまったく同じです。プロキシページでの速度テストと切り替え、接続ページでの通信量確認、ログページでのトラブルシューティング、すべて行えます。お使いのスマートフォン版クライアントにパネルの入口が内蔵されていない場合でも、ブラウザからexternal-controllerに設定したアドレスへ直接アクセスすれば同じことができます(スマートフォンとコアを動かしているデバイスが同じLAN内にあることが前提です)。手順としてブラウザを手動で開く一手間が増えるだけです。

パネルをトラブルシューティングの習慣にする

多くの人はネットワークに問題が起きたときだけパネルを開こうとしますが、より良い使い方は、パネルを常時表示しておく観察用ウィンドウにしてしまうことです。普段から画面の片隅に置いておき、ノードを切り替える前にさっと遅延を確認する、通信がカクついたらまず勘に頼らず接続ページを開いて確認する——この習慣がつくと、「ネットワークの問題」の多くはDiscordやXで誰かに質問する必要すらなく、パネル上の情報がすでに答えを示してくれていることに気づくはずです。

パネルをこのシリーズの他の記事とどう組み合わせるか

コントロールパネルは、トラブルシューティングの考え方全体を貫く一本の軸です。DNSに問題があると思ったら、ログページを開いてレベルをdebugに上げ、「Clash DNS設定を徹底解説:汚染と漏洩への対策」の調査手順と照らし合わせます。プロキシグループの切り替えがうまく機能していないと思ったら、プロキシページでノードの状態を、接続ページでマッチしたプロキシグループを確認し、「ロードバランスとフェイルオーバーの実践」の調査方向と照らし合わせます。ルールによる振り分けが誤っていると思ったら、接続ページでドメインを検索してマッチしたルールを確認し、「ルールセット(rule-providers)活用ガイド」にある「順序が結果を決める」という指摘と照らし合わせます。つまり、これまでの記事は「どう設定するか」を説明してきたのに対し、この記事は「設定した後にどう検証し、どうトラブルシューティングするか」を説明しています。両方を組み合わせることで、初めて一つの完結した使い方が身につきます。

Clashクライアントを使い始めたばかりの方は、この記事と「ロードバランスとフェイルオーバーの実践」を合わせて読むことをおすすめします。先にスケジューリングの方針を組んでから、パネルを使ってそれが本当に想定どおり動いているかを確認する——この順序を踏むことで、余計な回り道をかなり減らせます。